2025年7月 Polaris完成
2024年10月より自動航行型セーリングヨットをトヨタ自動車株式会社 未来創生センター、株式会社ロボティクスセーリングラボと共同で研究開発しました。20m程度の実機が最終目標ですが、まずは自動制御技術も同時並行的に海上試験で高度化するために2mの実証機を設計、製作しました。この先の我々の自動航行型セーリングヨットの目指す指針としていきたいと考え、本船をPolarisと命名しました。
尚、詳細設計並びに製造に際して株式会社ロボティクスセーリングラボ、設計製造管理に関して日本造船技術センター西川達雄氏に多大なるご協力を頂いております。
VPP(Velocity Prediction Program)の構築へ
凡その設計が終われば詳細な速度予測計算を行っていきます。セーリングヨットの場合は、surge方向、sway方向、roll方向、yaw方向の4自由度の力とモーメントの釣り合いから未知数である船速、leeway角、heel角、rudder角が決まります。しかし、これらが未知数であるということは、セールやハルやラダーが生み出す力やモーメントも未知数となってしまい、このままだと何も求まりません。
そこで、セールやハルやラダーの角度を様々変え、この時に生じる流体力や流体モーメントのデータベースを作ります。そして、これらを多項式近似し、非線形の連立方程式を求めることで未知数の船速等を求めることが出来るのです。
詳細設計に向けて
既にセーリングヨットの艤装品は様々に開発されており多くの良いものが販売されています。詳細設計するに際して大阪公立大学体育会ヨット部の備品を見学させてもらいました。ちなみに大学生の競技ヨットは470級とスナイプ級という艇種があり競われています。今回、我々が製作するヨットは2mと、470級やスナイプ級よりは一回り小さいものになります。
製作
材質はFRPとします。製作に向けては型設計、治具等も設計しています。
納入に向けて(プールでの試走)
Polarisの本格的な航行の前に、艤装方法の確認、入水方法の確認、浸水の有無、帆走性能の手ごたえ、各種テンションの調整を行なう必要があります。大阪公立大学のプールでの試走をしました。
※ 順調な試走となりました。微風ではありましたが、風が吹くと相当走りそうだという感覚を持ちました。ある程度順調な形で試走は終えたので、次は新西宮ヨットハーバーでの試走です。
納入に向けて(実海域での試走)
プールでの試走は順調に終えました。いよいよ海上での試験を実施してみます。
※ 実際の航行の様子です。風速は5m/s~10m/sくらいでした。強風が吹くことはありましたが、安定して航行することができました。
※ 実海域試験では多くの方々のご協力を頂きました。誠にありがとうございました。柳田徹郎氏、関西学生ヨット連盟理事 好多英次氏、大阪公立大学体育会ヨット部の直田鼓太朗君、井野翔太君、お手伝い頂きありがとうございました。